受講中にライターのキャリアをスタート。将来はエッセイの仕事もしていきたいです
さとゆみビジネスライティングゼミ3期を受講された、いしげまやこさん。まやこさんは、ゼミの受講中にライティングの仕事を始め、不動産関係の記事を中心に執筆されています。ゼミの思い出やライターの仕事をやってみての感想をさとゆみがインタビューしました。
Q1:最初に自己紹介をしてもらってもいいですか?
A1:フリーランスライターのまやこと申します。大阪で生まれ育ち、結婚をきっかけに神奈川に引っ越してきました。小学生の子どもが二人います。昨年の夏に不動産関係の仕事を退職し、今年の2月にライターの仕事を始めました。今はクラウドソーシングを使って、不動産関係の記事を書いています。
Q2:まやこさんが、ゼミに応募してくれたきっかけは何でした?
A2:さとゆみさんの本を読んだことが一番のきっかけです。『書く仕事がしたい』のタイトル通り、まさに「書く仕事がしたい」と思って申し込みました。他の講座も調べましたが、さとゆみゼミを選んだのは本の影響が大きいです。
子どもの頃から読書が好きで、漠然と小説を書きたいという気持ちがありました。大人になってからも「書く仕事」がしたいと思っていましたが、作家以外にどんな「書く仕事」があるのかあまりわかっていなくて。さとゆみさんの本を読んで、「書く仕事」がどういったものなのかとても明確になりました。
実は、上の子を妊娠しているとき、仕事をしていなかったので時間に余裕があり、少しだけWebライターのようなことをしていたんです。結構な時間を費やしましたが、文字単価1円以下の案件ばかりやっていたので、全然稼げませんでした。Webライターは稼げないんだなと思い、すぐに辞めてしまいました。それで、「ライター=稼げない」というイメージがあったのですが、さとゆみさんの本を読んで、「正しいやり方をしたら稼げるのかな?」と考えが変わりました。
Q3:ゼミを受けてみて、どうでしたか?
A3:受講前に「卒ゼミ生インタビュー」を読みました。トレイルランニングをしている卒業生の方が「100マイル走るより、このゼミの方がきつい」とおっしゃっていたのがとても印象に残りました。だから、このゼミは相当きついのだと勝手に高くハードルを上げて臨んだんです。結果、私にとっては100マイル走るよりはつらくありませんでした(笑)。
(※卒ゼミ生インタビュー:チーズの伝道師/佐藤優子さん『特に印象に残ったのは「小骨を抜く」話。全方向配慮を意識して書くという視点』)
Q4:それはよかった(笑)。ゼミの課題はどうでしたか?
A4:「自著の企画書を作る」という最終課題は、消化不良のまま終わってしまいました。それまでの課題は、原稿を書くしんどさはあったけれど、楽しんで取り組めていたんです。最終課題も考えるのは楽しかったのですが、「はじめに」の原稿とプレゼンが上手くいかなくて、ちょっと落ち込んでしまいました。
Q5:「終わりよければ全てよしの逆だった」と書いていましたよね。でも、上手くいった経験も、上手くいかなかった経験も、どちらもいい経験だと思います。
自分のことを書くのと取材をして人の言葉を書くのでは、どちらが向いていそうと感じましたか?
A5:私は元々、できれば自分のことを書きたいと思っていました。将来はエッセイを書けるようになったらいいなと思って、noteでも発信しています。でも、ゼミでセミナーレポートやインタビュー記事を書いてみたときに、さとゆみさんからの赤字がそれほど入らなかったんですよね。なので、取材をして自分以外のことを書くことが向いているのかな、とも感じました。この先はまず取材ができるライターになって、最終的にエッセイも書けるようになればいいなと思っています。
Q6:ライターに軸足を置いて、チャンスがあったらエッセイを書くのは、現実的な方法だなと思います。長年活躍されている大御所の方や、才能が爆発しているエッセイストであれば話は別だけれど、エッセイだけで生活を支える収入を得るのは相当難しいと思います。
2月にライターの仕事を始めたということは、つい最近ですよね。ライティングの仕事は、不動産の記事から始めたんですか?
A6:はい。未経験なので、なじみのある不動産のことしか書けないだろうなと考えて、不動産関係の記事からスタートしました。長年不動産の仕事をしていて、宅地建物取引士の資格も持っています。不動産の仕事も好きでした。
でも、正直なところ、知識をまとめて記事にするのは、そこまで楽しくないなと感じています。記事を納品して、クライアントさんに「すごくわかりやすかったです」と感謝していただけるのはとても嬉しいです。だけど、そこまで「これをやりたい」という感じではないなと思いました。
Q7:楽しさを感じられないのは、もしかしたらまとめ記事だからかもしれません。長くやってきた業界があるのであれば、私だったら「業界の識者と知り合いなので、取材に行くことができます」、「私自身が識者として原稿を書くことができます」と提案するかなと思います。取材をして書いたり、自分が識者として書いたりできれば、もう少しクリエイティブな仕事ができて、面白みが増えるかもしれないですね。
たとえば『CORECOLOR』でインタビューしたフリーランスライターの小林義崇さんは、元東京国税局職員のキャリアを活かして、様々なお金に関する記事を書いてらっしゃいます。「この業界ならこの人」と言われるようになると、仕事が楽しくなるかもしれません。
(※『CORECOLOR』掲載中の小林さんインタビュー記事:『「元国税局ライター」の肩書きで唯一無二のキャリアを築く。ベストセラー連発の小林義崇さん』)
また、単価が上がれば楽しいと感じる可能性もあります。稼げるようになったら楽しいと思うのか、稼げても稼げなくても好きなことを書かなくちゃつまらないと思うのか、何がモチベーションになるかは人によると思います。
A7:たしかに単価が上がったり、自分で企画した記事を書くのは楽しそうです。
今は、どうやって新規の仕事を獲得しこうかと考えているところです。Wantedlyに登録したり、ネットで求人を探したりして挑戦していこうと考えています。Webメディアのライター募集もチェックしているのですが、実績がないと応募できないようなメディアも多くて。できるところからコツコツ実績を積むのが一番なのかなと考えているところです。ゼミの最終日にさとゆみさんが「CORECOLORで書きなよ」とおっしゃってくださったので、企画を応募できたらとも思っています。
Q8:ぜひ、企画を出していただけるとうれしいです。また、媒体によるかもしれませんが、CORECOLOR以外でも、未経験でも採用されるケースは少なくないと感じます。未経験の卒ゼミ生も、どんどん応募して、メディアデビューしているイメージがあります。
これはゼミ卒業生の話ではありませんが、最近、『ママはキミと一緒にオトナになる』の取材で、ある人気の女性誌のライターさんからご連絡をいただきました。その方は、『書く仕事がしたい』を読んでライターの仕事を始めたのだそうです。「本に『メディアでもライター募集をしている』と書いてあったから、いろいろ探して応募してみました。未経験でも採用していただいて、ライターになって1年半が経ちます。今は嵐のように仕事がきて大変です」と話してくださいました。
経験を積むこともちろんいいと思います。でも、未経験でも書かせてもらえるメディアは無くはないので、そういう場所を探せるといいのかなと思いました。実績を積んでから仕事を増やしていくとなると、あっという間に時が経ってしまうと思います。もっとスピードを上げてもいいかもしれない。たとえば、2ヶ月で実績を積んで、3ヶ月目からは経験者だと言えるようにするなどしたほうがいいような気がします。
不動産関係のお仕事は、書く仕事をしようと思って退職したんですか?
A8:下の子が小学校に入ったら何か新しいことをしてみたいなと考えていたので、せっかくだからライターの仕事にチャレンジしてみようと思いました。それから、フリーランスを体験してみたいという理由もあって。これまでずっと会社員だったので、フリーランスってどんな感じなんだろうと興味がありました。フリーランスとしても、会社員の頃と同じくらい稼げるようになったらいいなと思っています。
Q9:それなら、「何年以内に会社員と同じくらい稼げるようになる」と決めるといいと思います。最終ゴールを持っておくと、仕事の選び方の軸が決まる。値段やスケジュールで計算してみると、会社員と同じ給料を得るためにはどれくらいの仕事量が必要なのか見えてきます。
何年目までにはこれくらい稼げるようになると目標を立てて、そこから逆算していくといいかもしれません。
イラストレーターの白ふくろう舎さんの『CORECOLOR』の連載に、いくらで仕事をお引き受けするかという記事がありました。白ふくろう舎さんは、「20代だったらいくらででもお引き受けしますと言っていたかもしれないけれど、1年目からある程度のお値段でお受けしないと、自分の年齢的にも戦略的にも厳しいと思った」というようなことを書いていました。自分の年齢や、仕事を始めてからの年数、何年後までにどうなっていたいかといった目標は、人それぞれです。1年後にこの目標を達成するためには、半年後にはこれくらい達成していなくてはいけない、となると3ヶ月でこれくらい、1ヶ月ではこれくらい、じゃあ1日でどれくらい? と、どんどん解像度の高い戦略が立てられるようになっていくと思います。
(※白ふくろう舎さんの『CORECOLOR』の連載記事:「イラストレーターって食えるんですか?」問題。食べている人たちには共通点があった?【絵で食べていきたい/第4回】)
不動産と同じように、学びは投資と回収が大事だと思いますよ。習ったことは、2年後、3年後になるとどんどん資産価値が落ちていってしまうような気がします。どんどん試して、学びに使った投資を回収していくのが、一番投資対効果が高いのではないかなと思います。
A9:不動産の例え、とてもしっくりきました。逆算思考、大切ですね。
アドバンス講座を受けることにしたので、ゼミとアドバンス講座の金額を今年中に回収できたらいいなと思っていました。
お話を聞いて、今はっきりとした目標ができました。
原稿について、ひとつ、質問をしてもいいですか。
構成についてあまり理解できていないと感じています。「書く前にどの順番でトピックを並べるかを決める」ことが構成なのでしょうか?
Q10:私は、「感情のストーリーラインを決める」ことが構成だと考えています。「ここでこんな気持ちになってもらって、次にこれをお伝えして感動してもらって、最後にこの話で締めよう」。このストーリーラインを作ることが、構成かなと思います。
ビジネス文書などでは、読者にとって読みやすい順番で並べることが一番大事だけれど、人の感情に訴えかけなければならない記事の場合は、読者の気持ちを動かす流れを作らなくてはいけない。そこまで含めて構成なのかなと思います。
A10:起承転結を考えるだけでなく、読者の気持ちの動きを考えて、それに沿って書くということでしょうか?
Q11:インタビュー原稿などはそうなるかなと思います。気持ちの動きに沿うというよりは、気持ちの動きを設計するといったほうがいいかもしれません。
ちなみに、「起承転結」の順番で原稿を書くことはほとんどないなと思います。インタビュー原稿を「起」から始めようとすると、生い立ちから書くことになります。でも、知らない人の生い立ちはなかなか読めません。実際の原稿は「承」か「転」か、もしくは「結」から始まることが多いかなと思います。
A11:個人のエピソードから書き始める「エピソードファースト」ということでしょうか?
Q12:それもひとつの手法ですね。エピソードファーストのケースもあると思います。「この人はこんなことを成し遂げました」という「結」から始まることもあれば、「こんなびっくりすることがありました」という「転」から始めて「起」に戻ることもある。取材相手や媒体、読者対象によって工夫して、読者に興味をもってもらえるように書くのがストーリーライン、つまり構成なのかなと考えています。
A12:課題でさとゆみさんに「構成が上手い」と講評していただきましたが、今まで構成をわからないままに書いていました。とても解像度が上がりました。
Q13:ほかにも気になっていることはありますか?
A13:さとゆみさんは企業案件をたくさん受けていらっしゃると思います。企業さんからリクエストのあった構成の順番が、読者にとってあまり良い構成ではなかったとき、どうされていますか?
Q14:その場合は、「その順番で書いたら読者は離脱してしまうかもしれません」と正直にお伝えします。
クライアントさんには、「ここを伝えたいから先に書いてほしい」「もっと目立たせてほしい」という気持ちがあると思います。でも、読みやすい構成になっていないせいで記事が読まれなかったら、もったいないと思うんです。せっかくお金をかけて依頼してくださっているのに、商品の売上が伸びなかったら意味がない。
成功している記事の事例やサンプル原稿を用意して、「こちらの構成のほうが、御社の商品を買いたくなると思いますが、いかがですか?」とご提案するようにしています。すると、意外とすんなり納得してくださるケースが多いです。
雑誌・Webメディアと企業のタイアップ案件だと、読者のことをよくわかっている編集者さんたちが、「うちの読者にとってはこの順番で書かれていたほうが読みやすいですし、結果的に御社にとってもよくなりますから」と企業さんを説得してくださいます。でも、編集者さんのいない企業案件だと、どんな構成がいいか自分で考えて、企業と相談していかなくてはいけないので、難しい仕事だなと思います。
私は、言われた通りにやることが必ずしも誠実だとは限らないと考えています。もっとよくできるかもと思ったときは、提案していっていいと思います。
A14:ありがとうございます。自分でもそうしてみます。
ライターのキャリアを歩み始めたばかりなので、参考になるお話をたくさん聞くことができました。ゼミで学んだことを活かしながら、投資した金額を年内に回収できるように頑張っていきます。
(構成・文/玄川 阿紀)
プロフィール
いしげまやこ
フリーランスライター。大阪生まれ大阪育ち。結婚を機に関東へ引っ越し、神奈川在住12年目。不動産関係の仕事を経て、ライターへ転身。現在は主に不動産関連の記事を書いているが、ライターとして幅を広げていきたいと模索中。趣味は読書とお笑い。年末のM-1グランプリを楽しみに生きている。特技は大阪弁と標準語を完璧に話せること。2児の母で、小6の息子と小2の娘がいる。
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