さとゆみゼミは、僕の人生のターニングポイントになると確信しています

さとゆみビジネスライティングゼミ3期を受講された、「ヒロ」こと中村昌弘さん。中村さんは、SEO記事の執筆やKindle本の作成、オンラインコミュニティの運営など、多岐にわたって活躍されています。ゼミの思い出や現在のお仕事に至るまでの経歴を、さとゆみがインタビューしました。

A1:新卒でマンションディベロッパーに勤めたあと、人事系の会社に転職しました。そのときに、心を病んでしまって退職したんです。会社を辞めて2、3ヶ月後、勤めていた会社のクライアントさん経由で新卒採用の仕事をいただけたので、人事コンサルタントとして独立することにしました。

でも、人事コンサルタントの仕事の一本槍では激弱だし、何か副業をしようと考えたんです。インターネットで副業についていろいろと調べているうちに、いわゆるWebライターという仕事があると知りました。それで、クラウドソーシングに登録して、ライターの仕事を始めたという感じです。2016年2月頃のことでした。

実は、大学は文学部日本文学科を卒業していて、本を読んだり、レポートを書いたりすることがわりと好きだったんですよ。

A2:一応、宮沢賢治を専攻していました。でも、僕はアメフト部に所属していて、部活三昧だったので、授業のことはマジで何も覚えていないんです。まるで仕事かのように部活ばかりしていました。卒論も書いていません。卒論の代わりに追加で10単位を取って、卒論を免れました。

A3:母校の大学と、もう一つ別の大学でアメフトのコーチをしていました。アメフト部時代の恩師に「やるよね」と押し切られて、断れずに引き受けてしまったんです。会社で働きながら、土日は大学に行って指導していました。独立したあとも2年くらい続けていたと思います。

A4:最初は、文字単価0.3円くらいの低単価な案件しか通りませんでした。うまく回るようになったのは、不動産の分野に特化しようと決めてからです。マンションディベロッパーに勤めていたので、その経験を活かそうと思いました。少しずつ実績と知見を積んで、次第に単価の高い案件に受かるようになっていったんです。それが2018~2019年頃でした。

お金に関する不安はそれほどなかったと思います。人事コンサルでそこそこ食べられるお金を稼げていたし、豪遊するような生活をしていたわけではなかったので、一旦このまま続けていこうと、超楽観的思考で仕事をしていました。

人事コンサルの仕事をやめてライターを専業にしたのは、2020年3月からです。

A5:ポイントは2つあると考えています。

1つはシンプルにライティング力、もう1つはジャンルです。

SEOライティングはジャンルに大きく左右されると思います。僕が書いている不動産のジャンルは、基本的に単価が高いんです。メディアがお金を稼ぎやすいジャンルの記事は、単価が高くなります。ちなみに、僕が稼ぎやすいと考えているジャンルは、不動産のほかに、金融と、薬機法が絡む美容・医療です。

なので、ライティング力が10あったとしても、月の収入が30万円になるか、5万円になるかは、案件のジャンルによって変わってくると思います。

A6:当初、Webライティングのノウハウを人にお伝えしようという気持ちはそれほどありませんでした。お客様からオファーが殺到するライターになるにはどうしたらいいのかなと考えていたときに、Twitterのフォロワーを増やせばいいんじゃないかなとひらめいたんです。まあ、今振り返ると間違った考えなんですけれど……。でも、当時は少しでも役に立つような発信をすればフォロワーが増えるんじゃないのかなと思っていたので、これまで培ってきたノウハウをTwitterで呟くようになりました。本格的にTwitterを開始したのは、2020年3月、4月頃ですね。

そこで、何か手っ取り早い方法をないかなともう一度考えて、「そうだ、フォロワーが多い人に絡もう」と思いつきました。つまり、インフルエンサーに営業をかけたんです。

たとえば、YouTubeをやっているインフルエンサーさんに、「YouTubeの内容をnoteにまとめませんか? 全部無料で書くので、代わりに僕のことを一回ツイートで紹介してください」と提案しました。どうしたらインフルエンサーと呼ばれる人たちと仕事ができるのか考えたときに、断る必要がない提案をすればいいんじゃないかなと思ったんです。でも、相手は僕のことなんて知らないし、「誰やねん、お前」と言われそうだったので、事前に相手のYouTubeを全部見て、先に構成案を作ってお見せしました。仕事につながるかどうかわからないけれど、先にアウトプットを用意しておかないとそもそも話にならないんじゃないかなと思ったんです。

60~70人くらいのインフルエンサーさんに声をかけて、仕事につながったのは5人くらい。2つ目の案件以降はお金をいただいて仕事をしていました。

A8:フォロワーは増えましたが、仕事の依頼はそれほどありませんでした。

厳密に言うと、営業をかけたインフルエンサーの方からは仕事をもらえたけれど、新しいクライアントさんからの依頼はあまりなかった、という感じです。半年~1年くらいやってみて、Twitterのフォロワーを増やすことでメディアの運営者さんから仕事をもらう戦略は、あまり意味がなかったなと感じました。フォロワーを増やすために、インフルエンサーと絡んだり、情報発信をしたりすることが、必ずしもメディア側や発注者側にポジティブに映るわけではなかったのだと思います。

A9:主に、Kindleで出版する電子書籍の執筆・編集の仕事をしていました。

インフルエンサーさんのほうから「Kindleで販売する電子書籍を作ってほしい」と提案があったんです。電子書籍を作ったことはありませんでしたが、とりあえずやってみようと、引き受けることにしました。YouTubeにすでに置いてあるコンテンツを2~3万字のKindle本にするような仕事だったので、SEOライティングの考え方を応用して取り組んでいました。

僕にとって、Kindle出版に関わったことは大きなターニングポイントになったと思っています。初めてKindle本の案件をゲットしたのが2020年9月で、ライターになって5年目でした。その頃、SEOライティングに少し飽きてきてしまっていたんです。Kindle本を作ってみて、ライターの世界にはブックライティングという仕事があるのだと知り、とてもキャリアが広がりました。

それから、「○○さんのKindle本を編集しました」というわかりやすい実績を得たことによって、案件に通りやすくなったこともよかったです。

A10:インタビューが入るパターンの原稿はとても難しかったです。

インフルエンサーさんの本を作る場合は、YouTube等にすでにコンテンツがあるので、インタビューをする必要はありません。でも、たとえば不動産会社の代表の方の本を作るような場合は、そもそも元にするコンテンツがないことがあるので、インタビューをして素材から集めなくてはいけないんです。「Kindleを出してみたいけど、何を書けばいいのかわからない」と言われることもあって、企画やテーマから考えなくてはいけないときは結構大変でした。

A11:2020年の年末頃だと思います。ノウハウを提供することでマネタイズできないかなと考えるようになりました。

最初は、インフルエンサーさんに「一緒にWebライター向けのコンテンツを売りませんか?」と声をかけてもらったんです。でも、コンテンツは作ったものの、いろいろあって頓挫してしまって……。ありがたいことに、そのインフルエンサーさんから「コンテンツは中村さんにあげます」と言っていただけたので、『WritingBegin』という名前をつけて無料で公開することにしました。それが2021年3月、4月頃のことです。せっかくだから他にもいろいろやってみようと、メルマガを始めました。だんだんメルマガを読んでくれる方が増えて、読者さんたちに何かできないかなと、ライティングについて学ぶオンラインコミュニティを立ち上げたという感じです。

A12:実は、さとゆみゼミと上阪徹さんのブックライター塾の二つで迷っていたんです。宣伝会議さんのさとゆみさんと能勢邦子さんの講座を聞いたことが、さとゆみゼミを選ぶ決め手になりました。講座の話がとてもわかりやすくて、面白かったんです。元々さとゆみさんの実績は知っていたし、『書く仕事がしたい』という本も読んでいました。さとゆみさんから学びたいなと思って、ゼミに申し込みしたんです。

A13:さとゆみさんから赤字をいただけたことがよかったです。ゼミ生全員に赤字を入れてくださるので、自分だけでなく、他の人の文章とその赤字から得られる発見もたくさんありました。書籍を読んでライティングを学ぶこともできると思いますが、ゼミで実際に文章を書いて、それに赤字をもらうことで、より実践的に文章力が磨けたと思います。

それから、文章への向き合い方が大きく変わりました。さとゆみさんは、「文章によって態度変容を起こす」というお話をよくしているかと思います。つまり、「読者の習慣や行動を変えたりするような文章を書きましょう」というお話です。お恥ずかしながら、SEO記事を書いているとき、僕はそこまで考えていませんでした。もちろん読者の方をイメージすることはありますが、情報を提供するという意識が強くて、情報を提供したあとの態度や行動を変えようという視点をあまり持っていなかったんです。これからは、読者の態度変容を起こすような記事を書いていこうと、心から思いました。

先ほど、Kindle編集に携わったことが僕のターニングポイントだと話しました。5年後、過去を振り返ったときに、さとゆみさんのゼミも間違いなく僕の人生のターニングポイントになっていると思います。

A14:どうしましょう、どうすればいいんですかね……。

さとゆみさんへのインタビューのあとも、僕の相談会のようになって、いろいろ話を聞いてもらいました。ゼミの最終回のときも、どんなライターになりたいか明確にできなかったんですよね。

今も明確な結論が出ているわけではありませんが、もっと自分の思想や思いを乗っけるライティングをしていきたいと、漠として思っています。情報を整理して届けることも、それはそれで素晴らしいことだと思っていますが、これからは今まであまり触れてこなかったインタビューライティングやセールスライティングに挑戦していきたいです。読者の行動を変えるようなライティングをしていけたらいいなと思っています。

A15:さとゆみゼミからもらったものは、「さとゆみさんの赤字」と「文章への向き合い方の変化」のほかに、もう一つ「コミュニティ」があるなと思います。先日、同期のみんなと飲みに行ったんです。正直、ここまで仲良くなると思っていませんでした。

利害関係がない、けれども共通言語がある。そういう人間関係ってあまりないと思うんです。仕事だと発注者と受注者で上下関係ができてしまう場合があるし、オンラインコミュニティも、オーナーとメンバーという立ち位置では、どうしてもヒエラルキーが発生してしまう。だから、利害関係のない「同期」のような関係ってめちゃくちゃ貴重だなと感じました。ゼミの初回でさとゆみさんが「一生付き合っていく仲間になる」と話してくれたときは、あまり理解できていなかったんですけど、今はすごくよくわかります。本当にゼミに入れていただけてよかったです。

A16:赤字をもらえたことはすごくうれしかったんですけど、さとゆみさんに褒められたことが、まずすごく記憶に残っています。僕、さとゆみさんが褒めてくれたシーンを画面録画して保存しているんです(笑)。

数日前に、ゼミの課題や動画を見返していたんです。褒められたことばかり注目していましたが、ご指摘もたくさんいただいていました。一番ご指摘をいただいたのは、さとゆみさんへのインタビュー課題。僕は、さとゆみさんの話を自分の言いたいことにねじ曲げて書いてしまったんです。久しぶりに読み返してみたら、自分でも主張が強すぎてダメだなと改めて思いました。たぶん、ライティング以外の場面でも、自分の主張が強く出過ぎてしまうところがあるのだと思います。赤字を抽象化して、なんなら自分のプライベートまで見つめ直しました。

さとゆみさんのご指摘に、もちろん反論の余地はございません。ぐうの音も出ませんでした。「ありがとうございます!」という感じです。

A17:ありがとうございます。卑下せず、でも傲慢にならないように、客観的に見ることを日頃からめちゃくちゃ意識しています。

A18:自分が褒められたところをストックしておいて、仕事でへこんだときに聞き返しています。このTwitterライブも、褒められた部分だけ録音して、無限リピートする予定です(笑)。

A19:でも、1つ弊害があります。褒められたところばかり見過ぎると、指摘されたことを忘れてしまうんです。この前、さとゆみさんから褒められたところを見返していたら、肝心の指摘されていた部分をすっかり忘れていました。赤字や直したほうがいい部分が、すっかり脳から消え失せてしまっていて、「あ、やべ、忘れてた」と(笑)。弊害もセットで、皆さんにこのライフハックを使っていただけたらと思います。

A20:よかったら、 3つ質問させてください。

1つはインタビューについてです。課題でさとゆみさんへインタビューをさせていただきました。僕のインタビュー、どうでしたか? ダメ出しというかアドバイスをいただけないかなと思って。

A21:ありがとうございます。自信になりました。

2つ目の質問です。さとゆみさんがライター駆け出しの頃、ライティング力を上げるためにどんなトレーニングをしていらっしゃいましたか?

A22:僕はずっと孤独に文章を書いてきたので、あんまり友達がいなくって。大人になってから友達を作るのって難しいなと感じています。でも、さとゆみゼミの同期だったら、これからも互いの文章を読み合ってアドバイスすることができそうだなと思いました。

A23:めちゃくちゃ緻密に運営してくださっていたんですね。ありがとうございます。

最後の質問です。抽象的な質問で恐縮ですが、もし、さとゆみさんが僕だったら、今後どのようなライターのキャリアを歩みますか?

A24:取材のほうに軸を置くのはなぜですか?

A25:ありがとうございます。すごく参考になりました。「取材にはステークホルダーが2人いる」「取材相手のインナーの仕事を巻き取る」という発想が全くありませんでした。人と会わない生活をしすぎてしまったせいかもしれません。

A26:めちゃくちゃ参考になりました。ありがとうございます。

昨年くらいから、「人と会う」という目標を立てているんです。37歳にして、ようやく人と会う楽しさがわかったので、今年はいろんな人に会いに行こうと思っています。

A27:週に1日は未来のために使う。すごく良いですね。やってみようと思います。

今日はたくさんのお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
ぜひ、『CORECOLOR』で一緒に記事を書かせてください。
今後とも、どうぞよろしくお願いします。


(構成・文/玄川 阿紀)

プロフィール
中村昌弘

ライター。2016年に独立以降、ビジネス系のメディアや書籍の編集・執筆をおこなう。Webメディアは「三井不動産リアルティ」「朝日新聞デジタル」「幻冬舎ゴールドオンライン」など。書籍はKADOKAWAの商業出版の執筆や編集協力。Kindleも編集者として30冊以上を手掛けてきた。

X:@freelance_naka(https://twitter.com/freelance_naka
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