温かいクラスと姉御のようなさとゆみさん。未経験でも参加してよかった

今回お話を伺ったのは、書籍出版ゼミ「ブックオリティ」スタッフのKyo(きょう)ちゃん。読書が大好きで、年間400冊以上読むというきょうちゃんが、ライティングゼミを受講して感じたことや、おすすめの書籍などを伺いました。

Q1:書籍出版ゼミを運営する 「ブックオリティ」のスタッフとして仕事をされているKyo(きょう)ちゃん。具体的にどんな業務を担当されているんですか? 

A1:ブックオリティ関連事業全般のバックオフィス業務 や、ブックオリティ学長の高橋朋宏さん(通称:タカトモさん)の秘書業務を担当しています。具体的には、ブックオリティ事務局として受講生の方々へのご案内や各種対応、イベント関連ではインターネット配信の撮影や設備準備、ホームページの更新、動画販売サイトの構築など、業務は様々です。

Q2:想像以上に幅広い! フルタイムで働かれているんですか?

A2:家庭と両立できるよう、時間は自由に調整させていただいています。今、ブックオリティも9期目が開講していますが、私は6期のあたりから専属スタッフになりました。この仕事を始めたのは、在宅でも働ける仕事を探すために登録した求人サービスで、タカトモさんをご紹介いただいたのがきっかけです。

Q3:私がきょうちゃんと知り合ったきっかけも、ブックオリティだったんですよね。私はタカトモさんが主宰されたサンマーク出版の「本気で著者になる出版ゼミ」卒業生としてタカトモさんと対談する機会をいただき、そこできょうちゃんがスタッフさんとして働いていて。トークイベントが終わって、すぐゼミに申し込んでいただきましたよね(笑)

A3:そうでしたよね。対談が終わった後、さとゆみゼミの開講告知を聞いて「行ってみたい」と思わず口にしたら、ありがたいことに、タカトモさんからも後押しをいただきました。

Q4:きょうちゃんは、もともとライティングの経験はあったんですか?

A4:子どものころから本の虫で、読むことは大好きでしたが、書いた経験はまったくありませんでした。普段から文章に触れてはいるものの、いざ自分で書いてみると大変さを痛感しました。ライティングについて何も知らない状態から始めたので、全部が勉強になりました。

Q5:読むことと書くことって、また違った筋肉を使いますよね。普段どれくらい本を読むんですか?

A5:いちばん多い時で、1日3~4冊の文芸書を読んでいました。学校卒業後、書店で働いていたことがあって、仕事前、休み時間中、仕事終わりのタイミングで1冊ずつ読んで、さらに買って帰った本を家でも読んでいました(笑)。生きている時間のほとんどを本と一緒に過ごしていて、本当に本が好きなんです。

Q6:それは、すごい。紙媒体と電子媒体どちらで読むの?

A6:私はいつも紙で読みます。見開きで情報がすべて入ってくる感じがすごく好きなんです。フォントや字詰めなども見て、余白で語っている部分や裏表紙まで堪能したくて。読み返したい箇所も、なんとなく指の間隔で覚えていて、「これくらいのページかな?」って開けます。すごくマニアックですよね(笑)。紙の本はかさばってしまうので、溜まっては処分しなければいけない悲しみがありますが、それでも読むときは紙派です。

Q7:すごくわかる! 私は、行きつ戻りつしながら読む本は、紙を選びます。いろんな人に同じ質問をされているとは思いますけど(笑)、私にオススメの本を1冊教えていただけないでしょうか?

A7:『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論』(星海社新書)という、有名な著者さん4人の対談本が、すごく面白かったです。まず、書くこと、生むことの苦しみや、執筆に使用する ツールの使い方などについての対談から始まり、対談後の書き方の変化」について1人あたり8000字の随筆が続きます。 さらに、その随筆をもとにもう一度 対談、という流れの本です。形式自体が珍しいですし、内容も「書くこと」についてすごく深く語られていて、かつ実践的な本です。著者さん4人の中には、先日さとゆみさんが書評を書かれていた『現代思想入門』の著者である千葉雅也さんもいらっしゃいますよ。

Q8:わ、千葉さんの本の書評コラム書いたあと、読もうと思って買っていたので、ますます楽しみになりました。タカトモさんって、出版業界で最も有名と言っていいほどの編集者さんですよね。そのタカトモさんのもとで、本を出したい人たちをサポートするスタッフとして働くのって、どんな感じですか?

A8:その方の最初のファンになれることが贅沢だし、未来の著者さんの姿にとてもワクワクします。ブックオリティのカリキュラムでは、クラス合同授業と、個別コンサルティングをオンラインで行います。期間中、授業とコンサルティングを毎月1回ずつくり返しながら、書籍の企画書に磨きをかけ 、完成したご自身の企画 を編集者の方々へプレゼンするんです。
私は、受講生のみなさんが必死に企画を考える「生みの苦しみ」のところから、試行錯誤しつつブラッシュアップしていく様子を間近に見ることができるんですよね。気持ちを動かされますし、心から応援したいと思っています。

Q9:同じ著者さんの企画でも、編集者さんが違えば全然違う企画になっていきますよね。

A9:そうなんですよね。本当に面白いし、勉強になります。もともと文芸書が好きでビジネス書を読む機会は少なかったですが、ブックオリティのお仕事を きっかけに、ビジネス書や実用系の本も読むようになりました。その面白さも教えてもらったと思います。

Q10:ブックオリティ卒業生の方々が書いた本で、特に面白かった本はどれですか?
 

A10:うーん……。どれも面白い本ばかりなので難しい質問ですけど、あえて選ぶとしたら、2冊あります。

1冊目は、モンテッソーリという教育メソッドの講師である丘山亜未さんの『子どもの才能を伸ばす5歳までの魔法の「おしごと」』(青春出版社)です。モンテッソーリ教育って、専用 教材を使って勉強することが主体だと思うんですけど、この本では、「おてつだい」や「おしごと」を通じて、身近なものを使って家庭で実践 できる方法が紹介されているんです。ハードルが高そうに見えるモンテッソーリを、読んだその日から自宅で始められる形で教えてくれるところが画期的ですし、子どものやりたい気持ちや好奇心を、上手に消化する手助けとなる一冊です。
2冊目は 、「ビリギャル」の先生としても有名な坪田信貴さんの『「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない』(SB新書)です。1冊目と同じく子育てについて書かれているんですが、親が救われる本だな、と思っています。というのも、子どもの成長に繋がる声かけの仕方を、学術的な視点から論理立てて教えてもらえる内容で。
私自身、子育ての悩みをなかなか周りに理解してもらえなかったり、「しつけが足りていないんじゃないか?」と言われたり、たびたび辛くなる場面があったんですね。でも、教育者である坪田さんの言葉は、不思議とすっと入ってきて、すごく救われたんです。本の中では「子どもを縛る呪いの言葉」があると言われていますが、それは同じように「親のことも縛る呪いの言葉」として、大人も蝕んでしまうと感じていて。親が呪いに縛られず、同じように子どもを縛らず生活できたら理想だろうな、と励みになる一冊でした。私にとってバイブルのような本です。

Q11:どちらも素敵な本ですね。ちなみに、私は須王フローラさんの『花を飾ると、神舞い降りる』(サンマーク出版)が好きで。日本語がとても美しくて感動するんです。すごく難しいことを、とてもわかりやすい言葉で書かれているんですよね。
ゼミの卒業式のとき、「自分はブックオリティで書く人を応援する側だと思っていたけど、ゼミを受講するうちに書きたくなった」と言っていましたよね。いつ頃からその変化があったんですか?

A11:ゼミの前半にあった「雑誌の企画を考える」というカリキュラムのときです。今まで読んできた雑誌や本を、自分でレイアウトを組んで考えてみることが、すごく新鮮で楽しかったんですよね。そして、その企画を見てくれた人から「面白い」と言ってもらえて、「自分の中にも、ほかの人が面白いと思ってくれるようなコンテンツがあるんだ」という発見がありました。それからは 、自分が普通だと思っていることでも、周りの人が興味を持ってくれることがどこかにあるのかもしれない、と考えられるようになりました。

Q12:自分が持っていたり知っていたりするコンテンツが、ほかの人にはどう映るかって、意外と自分ではわからないものですよね。ゼミで思い出に残っていることってありますか?

A12:実は、女性が多い環境で過ごすこと が初めてで、それだけでも すごく楽しかったです。学生時代は理工系の学校で、周りは男性ばかりでした。だから、さとゆみゼミ1期は、女性ばかりだったことにまず感動しましたし(笑)、さらにみんな優しくて、温かいクラスだったことが本当に良かったと感じました。最初は「ライター経験のない素人が混ざっていいのかな?」と不安でしたし、場の雰囲気を壊さないようにと思っていましたが、それでもゼミ生のみなさんが 気さくに話してくれたので、とても楽しく学ばせていただきました 。

そして、そのゼミ生を率いるさとゆみさんは、まるで「姉御」のような存在でした。時には引っ張ってくれて、時には激励してくれて。さとゆみさんの前では、自然と背筋が伸びますし、一方でさとゆみさんの温かく話しやすい雰囲気もあって、お姉さんのようなイメージを抱いています。

Q13:私も、本当に性格の良いメンバーに恵まれたと感じています。私は「先生と生徒」というより、もっとフラットな関係でいられたらな、と思っていたので、そう言っていただけて良かったです。

A13:あとは、ゼミ生のみなさん一人ひとりが熱心に取り組まれていた姿も印象深かったです。ゼミ生から濃厚な質問が挙がったり、さとゆみさんから怒涛の課題が出されたりしましたよね(笑)。ゼミ生も講師もみんな全力投球の姿勢だったことに感化されて、私も今までの人生で無かったくらい、真剣に文章を書いた気がします。ただ、 未経験の私は、みなさんの原稿を読んで、さとゆみさんの赤字を見て、さらに学んだことを落とし込んでいく、という日々だったので、ゼミの内容を追いかけるだけで精いっぱいでした 。自分の課題の進みが遅いこと が悩みでしたし、まだまだ自分では書けていないな、と実感させられました 

Q14:インプットとアウトプットの時間軸は人によって違うんですよね。心配しなくても、書き続けていったらある日突然、見違えるように成長するから。それに、最終課題「書籍の企画をつくる」では、きょうちゃんの企画が得票率トップでしたよね。

A14:自分の企画に対してみなさん食いついてくださって(笑)、本当にびっくりしました。私は多趣味なので 好きなジャンルの話となると、アイディアがたくさん湧いてきちゃって。最終課題では 、自分の趣味や知識にも需要があることが感じられて 、とても楽しかったです。
実は、企画の中には書ききれなかったアイディアも、いっぱいあるんです。せっかくだから、趣味や自分が掘り下げた部分を書いてお伝えできる場所があったら、きっと楽しいだろうなと と感じました。
いつの間にか、大好きな本を「読む側」から「作る側」へどっぷり浸っている自身の変化が嬉しいですし 、とても充実感があります。これからも、いろんな形で「書くこと」への関わりを味わおうと思います。


(文・構成/ウサミ)

プロフィール
Kyo (きょう)

株式会社ブックオリティ所属スタッフ。理工系出身の書店員からIT系商品開発職という異色の経歴のもと、現在は出版コンサル会社のバックオフィス業務全般を担当。秘書業務からLP作成・オンライン講座構築・イベント配信・動画撮影/編集と幅広く対応。食事は忘れても読書は欠かさないほど本が好き。年間読書量は400冊を超える。本が生み出される過程に触れる現職で、編集者や著者の皆様に失礼のない対応をしたいと考え、ライティングを修行中。

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