ものすごい熱量かつ本気で書くことに向き合っている仲間が20人もいた!

今回お話を伺ったのは、マンガライターとして活躍されている、ちゃんめいさん。マンガを楽しむ秘訣のほか、ライター活動を始めたきっかけや、会社員とライターを両立する方法などを伺いました。


Q1:今日はマンガライターとして活躍される「ちゃんめい」との対談です。ずっと気になっていたんだけど、どうして「ちゃんめい」なの?(笑)

A1:ライターネームの由来は、本名の「愛衣(めい)」がなかなか読めない漢字なので。「めいちゃん」っていうのも考えたんですけど、あまりにもふざけすぎかなと思って、学生時代にインパクトはあるのに普及しなかった呼び名をあえて引っ張ってきました(笑)。

Q2:そうなんだ(笑)。名前のインパクトって大事ですよね。私の周りにも、ちゃんめいのファンが多いんですよね。普段はどんな活動をされていますか?

A2:リアルサウンドブックさんというカルチャーメディアでのマンガ書評や、現代ビジネスさんやクイックジャパンウェブさんではインタビュー記事などを執筆しています。講談社さんとお仕事をさせていただく機会が多くて、『なかよし』のニュースページも担当として書くなど、マンガを通じて幅広く活動しています。

Q3:最初のお仕事はどんなふうに始められたんですか?

A3:すでにクローズしたサービスですが、起業家の古川健介(けんすう)さんが立ち上げられたマンガ情報サービスのアルが最初のお仕事でした。マンガ愛を語るマンガライターの募集を見つけて、応募したのが始まりです。そこからマンガライターと名乗るようになり、記事を書いてポートフォリオを溜めていって、お仕事に繋げていきました。
普段は会社員として働いているので、副業としてのライター活動ですが、本業もオウンドメディアの運用や編集をしているので、実は書くことで繋がっています。

Q4:そんなちゃんめいが私のビジネスライティングゼミに来てくれた動機は何ですか?

A4:マンガライターとして活動を始めて2年半が経ったころに、限界を感じたことがきっかけで。それまでの執筆はほとんど独学で、主に執筆している原稿を見てくれる編集者さんからのフィードバックや読書などで勉強していました。その中で、毎日継続して書くことが力になるとは思いつつ、「もしかして、このやり方だけじゃ成長できていないんじゃないかな?」と不安を覚え始めたんです。
たとえば、筋トレはフォームが間違っていたら筋肉を痛めるって言うじゃないですか。ライティングも筋トレと同じなのかな、と思って。
それから、誰かに師事したいと考えていたんですけど、さとゆみさんのnote「プロの書き手になる人、ならない人、なれない人。」  という記事がすごく刺さって。もしライティングを習うならさとゆみさんから習いたい!と思うようになったんです。当時、開講していた宣伝会議さんの講座はあいにく応募できなかったんですが、2021年12月にさとゆみビジネスライティングゼミ1期生の募集を見て、絶対に受けたい!と思って応募しました。

Q5:なんと、嬉しいです。独学で良くないかもしれないと思ったきっかけは何でしたか?

A5:マンガライターとして活動する中で気付いた違和感がきっかけですね。当時、マンガの書評やニュース、記事をTwitterでシェアすると、ご自身の作品検索をされたマンガ家さんから読んでいただき「熱量があって素敵です、嬉しいです」という言葉を頂けることが度々ありました。最初の頃は、大好きなマンガ家さんに記事を読んでもらってすごく嬉しかったんですけど、そのうちに「あれ?私はマンガ家さんに読んでもらいたくて記事を書いていたんだっけ?」と疑問を持つようになって。
そもそも、この大好きなマンガがあまり知られていないから、たくさんの人に知ってほしいし読んでほしい、と思って活動を始めたはずだったんです。多くの人に届く記事を書きたい気持ちがきっかけだったのに、現状はマンガ家さん以外からの反応がないことに気付いたのが決定的な出来事でした。独学でも毎日執筆していると、なんだか満足感はあるから、その違和感にはなかなか気付けなかったんです。でも、途中で気付けて良かったと思います。

Q6:実際に講座を受けてくださって、どうでしたか?

A6:自分が求めていたもの以上のことを教わることができて、大満足の講座でした。今でも意識して実践しているような学びはたくさんありますけど、特に私は課題の添削が思い出深かったです。
というのも、さとゆみさんは赤入れで「これはダメです」とか、否定することを言わないんですよね。そうじゃなくて、「ちゃんめいはこれが癖になっているよね」と、自分では気づかなかった書き癖を教えてくれる。かつ、何でその癖がついてしまったのか、そもそもの原因に気づく流れになるような指摘なんです。
あとは、「この表現は、読み手にとってカロリーになる(読み下すのに時間がかかる)」という言葉も印象的でした。意図してわかりにくく書く場合もあるけど、意図していないなら読者さんに不親切だから表現を変えてみては? という指導も私にはすごくありがたくて。講座を通していっぱい赤入れをいただけて良かったな、と思っているんです。

Q7:それは嬉しい。私自身も、一字一句修正される赤字よりも、書き直しを促される赤字のほうが勉強になったから、みんなにもそういう指摘ができればいいなと意識していたので。講座内では、ゼミ生同士の赤字をお互いに見てもらいましたが、それはどうでした?

A7:ほかの人の赤字を見るのも、すごく勉強になりました。なんせ20人分あるので、大量の宝だぞ、と思って。ゼミ生には、書き手としてベテランの方も、初めて書くことに挑戦する未経験の方もいらっしゃって、色んな方々が書いた原稿を公開して、お互いに感想を伝えたり赤字を見たりできたので、勉強の度合いも20倍になりました。

Q8:ゼミ生同士、すごく打ち解けていたよね。ちゃんめいは、お姉さんたちにたくさんかわいがられていたよね。

A8:先輩たちに、とても良くしていただきましたし、居心地がよかったですね。もう一人のみさとちゃんという子と私がゼミ生の中では一番年下の講座生でしたが、質問してもみんなすごく優しく答えてくれて、先生がいっぱいいるっていう感じでした。
同時に、今までいなかったライター仲間が出来て良かったです。自分と同じくらいの熱量かつ本気で書くことに向き合っている仲間が、今の私にはすごく必要で。そのタイミングで、20人もの仲間と出会えて、そして頼りになる先輩方もいらっしゃる環境に、すごく奮い立たせられました。「私もみんなに負けていられない!」っていう気持ちになれました。

Q9:みんな一生懸命、取り組んでくれたよね。それにしても、このゼミがどんどん課題も増えてなかなかハードなものになったのは、前のめりで受講してくれたちゃんめいが理由のひとつだと思ってる(笑)。いつでも一番に課題を提出してくれていたよね?

A9:本当ですか?実は、講座の感想や課題は、絶対に受講したその日のうちに提出しようと決めていました。なぜかと言うと、温度感が大事だと思っていて。学んだことをもう一度自分の中で落とし込んで、その熱量で感想も課題も一回その日に出すようにしていました。私の性格上、時間を置いてしまうと、あまり質の良いものが出せない気がしていたので、そこは意識して取り組みました。

Q10:自分の性格を理解して、こうした方が良いと思えるのは、すごく大事。普段の原稿やレビューもそんな感じ?

A10:作品や仕事によりますが、自分がすごく好きな作品とか、「これはレビューしたい!」って思うものは、読んですぐに書きます。でも、テーマが決められているものや、執筆依頼を受けたものは、一度整理しないと書けないこともあるので、締め切り日から逆算して余裕をもって取り組むようにしています。

Q11:超優等生だ! 会社の仕事と、ライティング時間はどうやって分けているんですか?

A11:1日のスケジュールとしては、毎朝6時に起床して、朝7時にご飯を食べてから、始業開始までずっと書いています。会社の勤務時間は10~19時、今は自宅でリモートワークをしているので、通勤時間が無い分、書くことに全振りです。
さとゆみさんから、寝ないと身体にガタがくる、という話を聞いてから、ちゃんと睡眠もとるようにしています。優秀なライターさんが無理をしてしまって活動をストップせざるを得なくなったエピソードも伺って、そうならないよう、休み休み余裕を持ってやっています。

Q12:これからもライター活動は副業で続けていく予定?

A12:実は、迷っています。それこそ、ゼミ生の先輩方に相談もしながら。
というのも、ライターとして独立すると、今の活動範囲だと、本当に書く事オンリーになってしまうんですよね。
一方で、会社員としてやっている仕事と今までやってきたキャリアでは、マーケティング業務が多いんですよ。そこでは書くこと以外に、数値に基づいた仮説検証にトライするようなお仕事もあります。そんな業務も好きで、やりがいを感じているんです。となると、書く事もやりたいけど、フリーランスに振り切ることが、果たして後悔に繋がらないかな、ということで悩んでいしまって。
講座で聞いたさとゆみさんの「視点と視座」のお話じゃないですけど、企画を考える時に会社員だからこそ出てくる視点や視座もあり、すごく良い環境だなと思っています。悩みつつも、これから何をしていこう、どんな人生になるんだろうってすごく楽しみで。能天気なんでしょうね (笑)。

Q13:忙しいかもしれないけど、本業と副業が良い相乗効果を持っている時は、フリーランスの道を急ぐ必要はない気がするし、楽しみなことはとてもいいことだね。自分の性格はどう分析してる?

A13:周りからは「武士みたい」って言われることが多いです(笑)。そう言われることが嫌だと思う事もないですし、きっと武士なんだろうな、と自分でも思っています。「一度限りの人生、咲かせてやる!」みたいな感じかなって。そうなりたいなと思っている自分もいます(笑)。

Q14:学生時代からマンガが好きだった?

A14:マンガは幼稚園の頃からずっと読んでいます。最初は、父親の影響で『金田一少年の事件簿』をパラパラと絵本感覚で読んでいました。殺人シーンとか、グロい場面もあったのによく読んでたなと我ながら思います(笑)。

Q15:マンガのことは、ライター活動以前から書いてたの?

A15:アルで活動を始めるより前は、書いてはいなかったけど、人に発信はしていました。実は私、飲み会が大好きで。バーでもマンガを読みますし、2~3軒目に行くとすごく饒舌になるタイプなんです(笑)。そこで知らない人にも「これ読んだ方が良い」「今、ジャンプの黄金期来てますから!」とか語りだすような、すごく迷惑なことをやっていたんですけど(笑)。
でも、そんな私の話を聞いてくれる優しい人達がいっぱい居て。そういう人達から「マンガのプレゼンとかお勧めの仕方が面白いから、語るなり書くなりやった方がいいよ」と、3~4年前から突如言われるようになったんです。その時期にアルとも出会い、今の活動に繋がっていきました。

Q16:自分のマンガ評の特徴はどういうところにあると自己分析していますか?

A16:記事の中に「へえ」ってなるようなトリビア情報が絶対に入っていることが強みだと思っています。
メジャーなマンガや話題のマンガも読みますけど、今率先してやっているのは、世に知られていないマンガについて取り上げることです。すでにヒットしているような有名なマンガは、私じゃなくてもたくさんの人が愛していると思うので、一旦そこは置いて。マイナーだけど、すごく魅力的なマンガ家さんが描いているものや、素晴らしい作品をどんどん知ってほしいなと思うものを中心にフォーカスを置いて、定性的に書いています。

Q17:書評をやっていると課題図書も出てきて、どんどん増えていくよね。素朴な疑問だけど、マンガは電子書籍と紙、どちらで読むの?

A17:購入媒体は、作品によって変えています。たとえば、週刊マンガのようにかさばって収納に困っていくもの、かつ捨てなければいけなくなってしまうものは、電子書籍で買うようにしています。単行本サイズで本棚に入るものは、紙で買うことが多いですね。それでもお家の整理が大変なので、1巻完結のものは電子書籍で買う場合もあります。逆に、シリーズで続いてある程度の量を集めるものは、あえて場所の確保をしようと画策して、何とか紙で買うことも。その時々でバランスを見て選んでいる感じです。

Q18:電子書籍といえば、最近は縦書きのマンガとかもあるよね。やっぱり紙媒体のマンガとは何か違いが出るもの?

A18:いわゆるWEBTOON(ウェブトゥーン)と呼ばれるマンガですね。従来の横開きのマンガとは、まったくスタイルが変わります。たとえば、従来型のマンガには「めくりの楽しさ」と呼ぶ魅力があるんです。めくった後にページがドーン!と来るとか、視線誘導するページづくりやコマ割りなどによって、ストーリー演出の緩急を楽しめます。これは、日本のマンガ界で数多くのマンガ家さんが培ってきた職人技とも言える技術なんです。
それと比べると、WEBTOONはスマホファーストで作られているので、スクロールになるんですね。だから、横開きの従来型とまったく畑が変わるので、求められる技術も、作品の作り方も大きく変わります。

Q19:それが変わることで、物語の作り方も変わってくるのかな?

A19:かなり変わると思います。以前、WEBTOONの新人発掘をされている方にお話を伺う機会があって、マンガの収益化について聞いてみたことがあります。基本的にスマホ配信となるWEBTOONの場合、たとえば1話無料だとしたら、2話以降を課金して読んでもらうことが収益に繋がるんだそうです。となると、無料公開している回で、いかに物語の「引き」を作れるかが肝になってくるので、WEBTOONではそこを意識している、と仰っていました。そういう点が、今までのマンガとは大きく違うところかな、と思います。

Q20:面白い。音楽も配信になってイントロですぐサビになるキャッチ―な曲が増えたっていう話にも近いのかもしれないですね。新しいマンガとはどうやって出合っていくの?

A20:新しいマンガと出会う時、最も確実かつよく選ぶ方法は、書店に足を運ぶことですね。マンガは立ち読みができないよう、ずいぶん前から中が見れないようになっていますが、コミック担当さんがいるような大型書店は、配置やポップにも力を入れてこだわっています。そういうところで見ると、たとえ中が見られなくても、あらすじや愛のある押しポイントが書かれたポップがあるので、そういうものを参考にすれば自ずと良い作品に出合えます。
あとは電子書籍の更新時間にストアを徘徊して新刊を探すこともあります。たとえばLINEマンガさんだと、毎晩0時になったら更新されるので、今日の新刊を寝る前に見るのが、ルーティンです。

Q21:マンガを読むとき、オススメの読み方ってありますか? 

A21:新しく読むマンガは、単行本のカバーの袖などにある作者さんからのひとことを先に読むのがオススメです。なぜかと言うと、作品や登場人物への想いが綴られていることがあるんです。それを読んでから作品を読み進めると、「先生が言っていたのはここのシーンのことか」とか、後々その言葉が響くことがあるので。作者さんからのひとことの内容は、作者さんや掲載誌にもよりますし、他愛もないひとことの場合もあります。それでも、連載にはなかった作者さんのコメントページは、単行本にしか収録されていない裏話という感じでとても楽しくて、それだけでも買う価値あるな、と思っちゃいます。あとは、すでに連載が続いている作品の最新刊なら、前巻を読み直してから読む方が理解度も深まりますね。

Q22:書籍とまた違ったマンガならではの魅力があって、聞いているだけでも楽しいです。ちゃんめいは、この先の目標はありますか?

A22:目標は2つあります。1つ目は、紙媒体での連載を持つこと。今はウェブで「ちゃんめいのおすすめ新刊漫画」という連載を書かせていただいているんですが、紙媒体でもマンガのコラムを書いたりオススメを発信したりする連載が持てたらいいな、と思っています。
2つ目は、マンガ家さんの作品発信のサポートをしていくこと。今って、とにかくマンガの数がどんどん増えているんです。というのも、出版社から出るマンガのほかにも、Amazonなどで自費出版されている作品や、先ほども話題に上がったWEBTOONという縦読みマンガなど、今までとまた違う形で日々たくさんの作品が生まれているからです。
マンガの数は増えているのに、そのマンガ作品の魅力を伝える人が圧倒的に足りていないと感じていて。マンガライターを名乗っている身として、誰よりもマンガの魅力や見どころを言葉で伝えていきたい。「描き手」としてのマンガ家さんを支える「書き手」としての活躍を目指しています。

Q23:そんなちゃんめいイチオシのマンガって何でしょう?

A23:実は今日、さとゆみさんにオススメしたいマンガを用意してきたんですよ(笑)。『ガクサン』(佐原実波著/講談社) というお仕事マンガです。これは、中高生の参考書を専門に発行する出版社が舞台の物語です。そこに入社した主人公の女の子は、まったく参考書に興味も無いし、勉強も得意じゃないし、だけど出版社ってオシャレかもっていうミーハー気分で。そんな彼女が、自称「参考書オタク」の先輩とタッグを組んで、どうやって自社の参考書を売っていくか、奮闘するストーリーです。作品内では、参考書の選び方なども紹介されていて、今すぐ使えるノウハウが詰まっているマンガなので、ぜひ読んでほしいです。

Q24:すぐポチって読みます! 最後に、さとゆみライティングゼミ2期への応募を考えてくれている方へ、メッセージをいただけますか。

A24:この講座では、ライティングの経験者も未経験者も、学んだことをすぐ実践できるようなノウハウを教わることができると思っています。私はライター活動を始めてから受けたので、講座の中で学んだことは、すぐ原稿に生かすことができました。
そして、ゼミの課題で仲間の原稿を読む機会もあり、周りの人達も確実に成長したのが見て取れたのが印象に残っています。経験の有無にかかわらず、書くことについてきっとスキルアップできる講座なので、迷っている方は絶対に受けた方が良いと思います。武士っぽいことを申しますが(笑)、 一度きりの人生、花を咲かせましょう。

(構成・文/ウサミ)

プロフィール
ちゃんめい

マンガライター。マンガを中心に書評の執筆やインタビューを行う。毎月100冊以上マンガを読む。女性誌のマンガ特集にも出演。【掲載:アル / Real Sound ブック / ダ・ヴィンチWeb / QJWeb / 現代ビジネス など】

Twitter:@meicojp24
note:https://note.com/meichan24