落ち込む時間があったら行動しようと思うようになったのは、さとゆみゼミのおかげ

ゼミ1期生に、さとゆみがインタビュー。今回お話を伺ったのは、フリーランスライターの早坂みさとさん。ライターへの道のりや、ライティングゼミ受講のきっかけなどを伺いました。

Q1:半年前に独立してフリーランスのライターとして活動する早坂みさとさん。早速ですが、現在の仕事も含めて、自己紹介をお願いできますか?

A1:フリーランスのライターとして、企業様から直接ご依頼いただいて、経営者や社員インタビュー記事の執筆を中心に活動しています。フリーランスライターになったのは半年前のことなので、まだまだ駆け出しですが、最近はメディアさんへの営業にも挑戦して何件か新しい仕事も決まって活動の幅を広げているところです。

Q2:もともとライターになりたいと思っていたんですか?

A2:子どものころから回文などの言葉遊びが好きで、国語も得意だったこともあり、書く仕事に就きたいと思っていました。ただ、実は一度挫折した経験があるんです。大学時代に「卒業後は新聞社に就職したい」と思って、地元の宮城県で新聞社のインターンシップに参加たことがあったんです。それが2012年のことでした。でも、東日本大震災の翌年だったこともあり、インターンシップの仕事は、震災関連の取材が中心で、インタビューがとても辛かったんです。そのとき「人の話を聞いて真実を伝える仕事は、とてもじゃないけど自分にはできない」と感じて、書く仕事に就くのを一度諦めました。
大学卒業後は、人の背中を押して人生をサポートしたいという気持ちから、大学職員やベンチャー企業で、事務や採用、広報などの仕事を経験してきました。直近で勤めたスタートアップ企業では、人事採用と広報が中心で、社員や代表インタビューなどを担当していました。そんなふうに自然な形で、また書く仕事に携われるようになって。その業務では、インターンシップで書くのが辛いと思ったときと違って、人のキャリアや人生のエピソードを書くことにすごくワクワクしたんですよね。そこから、やっぱり書くことを続けたいと思うようになりました。

Q3:それからフリーランスになったのは、どういうきっかけだったんですか?

A3:スタートアップ企業では、書く以外の仕事も含めて、楽しく忙しい日々を過ごせていましたが、自分の中では「もっといろんなことを書きたい」という気持ちがウズウズしていて。ただ、自分の気持ちとは裏腹に、会社のルールなどもあり、なかなか実現は難しかったんです。それと同時に、ワーキングホリデーで海外へ行きたい気持ちも芽生えていました。そこで「いっそのこと、仕事を辞めて海外へ行って、そこで本格的にフリーランスとして書く仕事をやっていこうかな」という考えに至ったんです。そこから、仕事の案件は少ししか決まっていない状態でしたが、スタートアップ企業を退社しました。海外に行ったあとも書く仕事ができるよう、海外に発つまでの半年間は、日本でいただいた案件に集中して取り組みました。今思えば、行き当たりばったりですが(笑)、フリーランスになる怖さはまったくありませんでした。

Q4:フリーランスになってから、順調に仕事は増えていったんですか?

A4:ありがたいことに、以前勤めていたスタートアップ企業が業界内で知られている企業だったおかげもあって、その繋がりで仕事をいただけました。退職したことをSNSで発信したら、私の仕事を見てくださっていた方々から「自分たちの企業についても書いてほしい」と、ご依頼をいただけて。営業活動をせず、お仕事をいただけて本当にありがたいなと思っています。

Q5:みさと自身がすごく信頼されているんですね。素敵なことだと思います。このゼミを受講してくれたのは、何かきっかけがあったんですか?

A5:さとゆみさんの著書『書く仕事がしたい』を読んだのがきっかけです。そのあと、さとゆみさんが出演されているトークイベントの配信を見たときに、さとゆみさんの人間性に惹かれたんです。そのイベント内で、ライティングゼミ開講の告知があり「絶対に受けたい!」と思って。ちょうどフリーランスとして駆け出したばかりのころで、メディアでの執筆経験もなかったので自分の文章に自信が持てず、ちゃんと学びたいと思っていたタイミングでしたし、「ほかのライターさんではなくさとゆみさんが良い!」と思って参加しました。

Q6:ありがとうございます。ただ、ゼミの最終日、みさとが受講料のために借金をしたエピソードを初めて聞いて、すごく衝撃でした(笑)。

A6:すでにフリーランスとして案件はいただいていましたが、入金までのタイムラグについてまったく頭に無くて(笑)。だから、ゼミを受けるお金足りないかもしれない、と資金繰りがちょっと不安だったんです。だけど、それは受講を諦める理由にはならないな、と思ったんですよね。とはいえ、家族に心配をかけたくない気持ちがあったので、消費者金融の扉を開けることにしました(笑)。その後、すぐ企業様から入金をいただけて、借入をした5日後にはちゃんと完済しています。

Q7:完済できて、本当によかったです。そこまで覚悟を決めて通っていただいたゼミは、いかがでしたか?

A7:学びたかったテクニカルなことは、網羅的に勉強ができました。たとえば、構成のつくり方は、今まで原稿を書くときテクニックを意識せず書いていたので、勉強になりました。また、色々教わった中でも「(文章の読みづらさで読者に)二度読ませない」という学びは、特に大事にしています。ここまで一言一句に意識を研ぎ済ませて書くんだな、と背筋が伸びる思いがしましたし、「今まで文章を書いた先のことは、読み手のリテラシーに委ねるような、甘えていた部分があったな」と気づかされました。書くことだけではなく、書くスタンスについて教えていただけたことも、大きな学びがありました。

それと、最初のころはさとゆみさんからご指導いただくだけで満足だと思って参加しましたが、一緒に受講していた方々も本当に素敵な方ばかりで。尊敬するメンバーと出会えて、こんな繋がりができるんだな、と感動しました。同じ釜の飯を食べたというか、みんなで一緒に頑張れたな、と思って。部活の仲間のような、昔からの友人のような関係性が築けたのは本当によかったです。

Q8:本当にみんな仲良くなったよね。最終日にリアルで会った時は、初めて顔を合わせるとは思えないぐらい、打ち解けていました。

A8:あとは、ゼミの最後の講評で、さとゆみさんが私の原稿を「優しい原稿」と言ってくださったことは、涙が出るほど嬉しかったです。私は人の目を気にしがちなところがあるんです。それが原稿ににじみ出ていたところを「優しい」と表現していただいたことで、「自分のこれまでの人生があったから、この原稿があるんだな」と前向きに捉えることができました。大げさかもしれないですけど、なんだか自分の人生を肯定してもらえた気持ちになれたんです。おかげで、自分のこうした一面も大切にしようと思えました。

Q9:みさとの原稿には、全方向配慮する姿勢が表れているな、と思っていました。たとえ他人について書いた原稿でも、ライターの生き様が表れるんですよね。そうやって人のことを思いやって生きてきたところから、みさとの文章が作られているんだな、と最終課題を読んであらためて感じました。課題は、きつかった?(笑)

A9:課題が出た日は、一日中そのことで頭がいっぱいになっていました(笑)。だけど、夏休みの宿題を最終日に取り組むような自分の性格を考えると、毎週追われるくらいのペースがちょうどよかったです。1ヶ月後が提出期限だったら、逆に上手くいっていなかった気がするので、自分には合っていたと思います。

Q10:実際の仕事でも、インタビューから納品までって1〜2週間くらいなので、実践とほぼ同じスケジュールでしたよね。普段は24時間どんなスケジュールで過ごしているの?

A10:フリーランスになってからは、フルフレックスで働いています。夕方から日が変わるまで働く日もあれば、平日に完全オフの日を作って土日に働く日など、その時々に合わせています。起きる時間も特に決めず、本当に自由な働き方で、その日暮らしです(笑)。

Q11:すごく素敵。私もそうありたいな、と思っています。今は東京に住んでいるんですか?

A11:実は転々としていて。というのも、2月にポーランドへ行くつもりでしたが、出発予定の3日前から情勢が変わってしまった影響で、断念したんです。ただ、当時住んでいた家も引き払うことになっていたので、せっかくなら日本を楽しもうと思い立って「そうだ、京都に行こう」と、すぐに京都へ向かいました。今月は、沖縄のホテルに移動して1ヶ月暮らしています。東京に家族が住んでいるので、住民票はそこに置いてもらっていますが、しばらくは日本や海外も含めて、どこに住むかはこれから自由に考えるつもりです。今の仕事はオンライン取材が中心ですが、仕事を増やす上で対面取材できるライターを募集している声も耳にするので、そこは状況にあわせて柔軟に決めようと思っています。

Q12:仕事はどうやって受注に繋げているんですか?

A12:今はライター同士の繋がりが増えてきて、「あのメディアで書きたいんだよね」と周りに伝えていることもあって、案件を紹介していただくこともあります。あとは、書きたいと思っていた媒体の公式ホームページから、自分が執筆した記事のポートフォリオと一緒にメッセージを送らせていただいて、ゼロから持ち込み営業をしています。

Q13:すごく頑張っていて、素晴らしい! 待つだけじゃなく、そうやって動いている人にこそチャンスがまわってくると思います。それにしても、みさとの行動力は頼もしいね。

A13:ゼミを受けて、なんだか自分でもたくましくなったな、と感じています。ゼミのみなさんの背中を見たこともありますし、何よりさとゆみさんの強さを感じて。『書く仕事がしたい』でも、「企画は通らないのが普通という感覚で、どんどん持ち込む」という話が書かれていて、「あ、こういう感じでいいのか」と思えたんですよね。さとゆみさんにインタビューする課題でも、赤字に落ち込まないという話を聞いて、細かいことでへこんでいた自分は本当にもったいないことをしていたな、と思うようになったんです。落ち込む時間があったら行動できるようになりたいな、と考えられるようになったのは、さとゆみさんのゼミのおかげだな、と思っています。

Q14:反省はした方がいいけど、落ち込む必要はないんですよね。そのふたつはまったく別物だと思う。一歩目を踏み出す難しさもある中で、即実践してくれてすごく嬉しいです。

A14:ライター仲間から、思ったよりも自分の書いた記事のPV数が伸びないと、落ち込むという話を聞いたんですよね。私も、この先メディアでの執筆もいくつか決まっている中で、どうやって気持ちに折り合いを付けたらいいのかな、とふと考えるようになって。逆質問になってしまいますが、さとゆみさんはどんな風にお考えでしょうか?

Q15:私は「PV数」と「反響」って別のものだと思っているので、PV数をあまり重視しないかもしれないです。ただ、特に読んでほしい記事は、時間帯をずらしたり、1週間後や1ヶ月後に発信したりと工夫しながら、折に触れて何度も拡散しています。自分のブログやnoteなら、タイトルとサムネイルを変えて再度トライしてみることもあります。 みさとの今後の活躍、応援しています。この先、みさとはどんな仕事がしたいか、目標はありますか?

A15:インタビューがすごく好きだと気づいたので、インタビューライターとしてもっと幅広く活躍できるようになりたい、というのがひとつの目標です。これまでは主に企業案件が多かったんですけど、ゆくゆくはもっと世界を広げて、普段出会えないような方々の話を聞いて、その方を知ってもらう仕事ができたらいいな、と思っています。それ以外にも、自分が思っていることを表現したい気持ちから、エッセイを書くことにも興味があって。なので、ちょこちょこnoteで発信しながら、いつか仕事にできたら嬉しいです。
ほかにもライティング講座がある中で、私は「どうしてもさとゆみさんに習いたい。これは、借金しないとだめかもしれない」と思うほどの直感があって(笑)。実際にさとゆみさんは裏表がなくて、朝も夜も誰に対しても変わらない魅力的な方でした。自分の人生を肯定してもらえるような、大事なことを教えていただけました。本当に感謝しています。


(文/構成・ウサミ)

プロフィール
早坂みさと(はやさかみさと)

1991年宮城県出身のフリーランスライター。群馬県立女子大文学部国文学科卒。私立大学職員、メガベンチャー採用アシスタントを経て、スタートアップ創業初期メンバーとして採用/広報を担当。記事の感想として一番いただく声は「読みやすい!」。どんな方にも分かりやすい&心があたたかくなる文章を書くよう心がけています。2021年の独立以降、インタビュー記事執筆を中心に活動中。

Twitter:@misato_bonlemon
Website:https://misato.page/