ライターを「副業」ではなく「複業」として人生の柱に
さとゆみビジネスライティングゼミ3期生の「りょーこ」こと、ささきりょーこさん。りょーこさんは、「複業」として広告の仕事とライターの仕事の二つを柱に立てたいとゼミを受講されました。ゼミでの思い出や、2年半で60人の面白い人と出会ったエピソードなどを、さとゆみがインタビューしました。
Q1:ゼミが終わってしばらく経ちました。りょーこは土曜コースを受講してくれていたけれど、普段土日は何をしているんですか?
A1:ゼミが終わったので、今はのんびりしています。ゼミの間は忙しかったですが、それもメリハリがあってよかったです。私は習い事をやったり、日頃からいろんな場所に「居場所」を作ることを大事にしています。ゼミでも様々な人と出会えたので、すごくいい場所になりました。
Q2:いろんなところに「居場所」を作るのはどうしてですか?
A2:家と職場、家と学校というように、居場所が限定されているとキャラも固定されてしまって、苦しさを感じやすくなる気がしています。普段とは違う能力を発揮できたり、いろんな面を出せる場所を複数持っておくと、心のバランスが取れるんじゃないかなと考えています。
Q3:今まではどんな習い事をしていましたか?
A3:英会話スクールは長い間通っています。昨年はゴルフを半年間習っていて、今はチェロとヨガをやっています。
英会話のレッスンは、たとえば「政治についてあなたの意見を英語で話してください」というようなことを問われるので、英語の勉強でもあるけれど、思考のレッスンでもあるなと感じています。自分がどう思っているのか言語化することをはすごく面白いし、今でも英会話でされた質問を思い出して、「一年前はこう思っていたけど、今はどう思っているんだろう」と考えることがあります。
チェロは習い始めて2年程経ちます。中学校のときは吹奏楽部で、クラリネットを吹いていました。大人になって楽器から離れてしまって、また何か演奏をしたいなと考えていたんです。弦楽器を弾いてみたくて、最初はバイオリンがいいかなと思っていましたが、人気楽器だし、もうちょっとひねった楽器にしようとチェロを選びました。チェロを買って家でも弾きたいのだけれど、防音や値段のことを考えるとなかなか難しいです。公園で『セロ弾きのゴーシュ』のように演奏するのもいいかな(笑)。
私は、「コンサートを聴くときの特等席は、演奏者のいる舞台だ」という持論があります。演奏者の中に入ると、演奏体験も含めて、一番いい音楽が聴けると思っていて。あれ、ちょっと話が大きくなりすぎました。
Q4:習い事を通して出会った人たちとは、仲良くしているんですか?
A4:仲良くしている人もたくさんいます。英会話スクールはグループレッスンなので、初対面の人にもバンバン声をかけているんです。習い事だけじゃなくて、イベントや居酒屋に行ったときも、面白そうな人がいたら話しかけています。気になった人にどんどん声をかけて「面白いですね、もっと話を聞かせてください!」と連絡先を交換しています。
さとゆみさんもそうですよね? 飲み屋で知らないお兄さんと話したことなどをゼミで教えてくれたと思います。
Q5:そんなことないよう(笑)。たまたま飲み屋で会った人と話すことはありますが、そのあとにもう一回会ったりはしません。
A5:そうでしたか(笑)。私は、なるべくいろんな人と出会うようにしているんです。この2年半で、プライベートで出会った約60人と連絡先を交換して、少なくとも40人はサシ飲みをしました。基本的には、相手にしゃべってもらって、私はずっと話を聞いています。
知らない世界を知ることがすごく楽しいです。普通に働いていたら出会えないような人たちの話を聞いて、「どんな仕事をしているんですか?」「それってどんなふうにやるんですか?」などと、いろいろ質問しています。人生をわくわく過ごしている人にとても魅力を感じるんです。
Q6:60人ということは、2週間に1回は新しい人と会って、話を聞いているのか。面白いです。
A6:でも、弱点があって、1回でお腹がいっぱいになってしまうんです。すごく楽しくて、いろいろ聞いて、一方的に満足してしまう。相手の方は「また行こうよ!」と言ってくださるのですが、おかわりはしなくてもいいかなと(笑)。自分が楽しければそれで終わりになってしまうところは、ちょっと反省しています。
おかわりする方は、聞き上手な方。私が話を聞き出したいのに、相手にのせられて、私ばかりしゃべっちゃうときがあるんです。そのときは「私、今日何も手に入れてない」と我に返って、「もう一回やり直してください!」とお願いしています。これはコミュニケーションのバトルに近いと思っています。戦いではありませんが、何か面白い話が聞きたいんです。
Q7:面白すぎます(笑)。今まで出会った人で、一番面白かったのはどんな人ですか?
A7:一番は難しい……。私が教育関係のお仕事に興味があるからかもしれませんが、学校で英語の先生をやっている方のお話が面白かったです。その人は論理的に考えるタイプで、意見をはっきりと持っている方でした。公立か私立か、地域によっても学校の雰囲気は変わってくるので、今のリアルな教育現場の話が聞けました。その人とは定期的に飲みに行っています。
Q8:コツコツと集めた話は、りょーこの中でどうなっていくのでしょう?
A8:話を聞いてどうしたいんだろうと、自分でも思っています。でも、思考を自分の中に貯めて、それがまた別の思考とつながって、「あのとき考えたアレに似ている」と世の中の現象が点と点でつながっていくのはすごく面白いです。
Q9:人の話を聞きたがるのは、子どもの頃からですか?
A9:そうだと思います。さとゆみさんの『ママはキミと一緒にオトナになる』に「子どものときから大人と話をすることを大事にしている」というような描写があって、親近感を覚えました。
私も小学生の頃から大人の話をよく聞いていました。保護者会の帰り、お母さんたちが井戸端会議をしている中に私も混じって参加していたんです。他の子はみんな校庭で走り回っているのに(笑)。高校生のときも、体育の授業中に先生に話しかけていました。先生はバスケットボールの日本代表に選ばれたことがあって、「ねぇ先生、日本代表ってどんな感じ?」のように、授業そっちのけで質問していました。早く大人の仲間入りをしたかったのかもしれません。
Q10:小さい頃は何になりたかったのですか?
A10:将来の夢は特に定まっていませんでした。テレビドラマの影響で様々な仕事があることを知り、なりたいものがコロコロ変わっていたんです。キムタクがドラマでパイロット役をやったら、「面白そう! 私もパイロットになる!」とか言ったりして。「全ての仕事のおいしいとこ取りができる職業はないんだろうか」と考えていました。ライターならそれができるのかもしれない、と今は思っています。いろんな職業の方の話や経験を聞いて、その人生をなぞって書いていくことで、その職業になれるというか、体感できるような気がするんです。宇宙飛行士に取材したら、宇宙飛行士の疑似体験ができるのかなあって思っています。
Q11:りょーこのような人は、ライターの仕事につくと相当面白いと思います。
原稿を書いていると、「取材であの人が言っていたことってこういうことか」ともう一段深く理解できるようになります。どんなふうに読者に読まれるかはもちろん大事なんだけど、「褒められたから嬉しい」「ディスられたから悲しい」というのはほぼなくて、原稿を書いている最中にすごく楽しいので、それだけで十分に元を取れる職業だなと思います。
A11:それを聞けて、嬉しくなりました。私も、自分が知れて楽しい、自分の学びになったことがあれば、それで十分元が取れていると思っています。もちろん世の中がもっと良くなればいいと思っていますが、何か良いことを拡散したいとか、物事をいい方向に変えていこうという意欲はそれほどありません。だから、ゼミの課題で読者メリットを考えることが結構「壁」でした。記事のメリットが「自分が楽しくて面白いと感じるから、この話がしたい。はい、終了」となりがちなんです。
Q12:私は自分と読者のメリットが一致しやすいと思っています。私は最先端のことに興味があるわけではないし、比較的レイトマジョリティ側にいると考えています。だから、私が「へー!」と思うことは、多くの読者も「へー!」と思うような気がする。情報感度の高くない私の知りたいことが、同じような読者のメリットになっているように感じています。
A12:ゼミの課題で、私は「記事は面白いけど、読者がついてきていない」のような指摘を受けることがありました。企画を立てるときに「3歩先だと行きすぎ、半歩先がいい」とよく言われるけれど、その差を埋めることが難しいなと感じています。
Q13:たくさん取材をすると、どこが3歩先で、どこが半歩先なのかわかるようになると思います。流行に敏感な人たちに会って、話を聞くことになるから、それがどれくらい早い情報なのか、相対的にわかるようになります。
私はヘアライターの仕事をメインにしていた頃、年に1度「美容業界予想」を立てていました。大体、自分が2年くらい前に考えていたことを書いていたと思う。「2年前に考えていたことが、もうすぐくるな」とわかるようになるんです。
A13:数をこなしていくと、「2年前に聞いたあのときの話が、今の時代に追いついてきたぞ」と、取材で感じるようになる、ということですか?
Q14:そうです。当時は概念として面白いと思っていたものが、時を経て具体的に実を結んだり、他の人たちがトライするようになったり、緩やかに注目され始めます。業界の動向に敏感な人の話を聞いていると、「あの人が今後やって来ると言った世界はこれのことか」と、日差しが見えるような感じで、だんだんわかってくるんです。
記事としては話を聞いたときに書くのだけど、具体例として実を結んでいくのが、1年後や2年後なんだろうなと考えながら書いています。
今はいろんな業界の方の話を聞いているけれど、不思議なもので、どの業界の人も共通した概念を話される瞬間があります。全然違うジャンルの話をしているのに、概念は同じだなと感じるときがある。そういうときに、時代の兆しが見えますね。
ところで、りょーこはライターになりたくて私のゼミに来てくれたんでしたっけ?
A14:はい。私は普段広告の仕事をしています。広告の仕事がやりたいと思って、今年の一月に広告制作会社に転職しました。会社には「いつか乗っ取ってやる!」という意気込みで入っているんです(笑)。会社からは好きなことをやればいいと言ってもらっているので、プロデューサー的な動きをしながら、広告コピーを考えるような仕事をしています。
広告は商品やサービスなどを売る仕事なので、売る視点とは別に、私がワクワクしたり、楽しい、いいなと思っているものを伝えるために、ライターの仕事をしていきたいと考えています。「副業」ではなく「複業」として、広告の仕事とライターの仕事の二つの柱を立てていきたいです。
Q15:りょーこは、宣伝会議さんの編集・ライター養成講座を受けていましたよね。私のゼミはどうして受けてくれたんでしょう?
A15:宣伝会議のさとゆみさんの講座では、原稿料などのお金の話をざっくばらんに話してくださったことが印象に残っています。さとゆみさんの話はずば抜けて面白くて、もっと聞いてみたいと思いました。また、さとゆみさんや卒ゼミ生の動きが楽しそうだなと感じて、その輪に入りたいという動機でゼミを受講しました。
Q16:実際に受けてみてどうでしたか?
A16:楽しかったです。ひたすら「書くこと」を考える時間は、本当に幸せでした。
ゼミの一回目でさとゆみさんが話してくれた「超絶いい人でいましょう」ルールは、後からじわじわと、ものすごく大切なルールだなと実感するようになりました。このルールがあったからこそ、良い関係性が築けたなと思います。ゼミではみんなで課題を読んで、感想を送り合うことを頻繁にやっていました。それぞれ「傷つけないコメントを書く」という意識があったし、「ゼミ生は私を傷つけようとしない」という担保があって、いい空間だったなと思います。学校の教室のような雰囲気でした。書くことでつながるって、本当に楽しいと感じています。
Q17:書くことはその人の人生観が丸見えになっちゃうことなので、ゼミでは課題を通して初回から本質を見せ合っているところがあると思います。一旦全部見せちゃったから、もう今更隠すところなんてなくなるという(笑)
ゼミの仲間は、確かにクラスメイトに近いかもしれません。大人になると、人とのつながりを作ることってなかなか難しい。一緒に何かを学んだりすると、友達ができやすいのかなと感じます。りょーこも、ゼミのみんなとはこれから長い付き合いになると思います。
A17:最後のゼミはリアル講義だったので、そこでようやくみんなと会えました。でも、誰一人「初めまして」とは言わなくて、「わー! やっと会えたね!」と盛り上がって(笑)。そのときには、もう心の距離なんてなくなっていました。
20人というゼミの人数も、「学校の教室」のようなサイズ感で丁度いいなと思います。一人一人の顔と名前を覚えて認識できる。これから、みんなの課題やコメントを一から読み直したいと思っているんです。最初は手探りでコメントしている感じがあったけれど、今はもう誰がどんな人なのかわかる。「○○ちゃんは最初から○○ちゃんだわ」と読み返して、ニヤニヤしたいです。
Q18:最初の頃からみんなとても上手くなっているから、そこもぜひチェックしてほしいです。自分で赤字を入れてみるといいですよ。3ヶ月前だと、自分で書いた原稿でも記憶が薄くなってきているから、人の原稿だと思いながら赤字を入れると、勉強になると思います。
A18:昨日、自分の課題を振り返っていました。私は「but の意味のない『が』は使わない」といった文法的なエラーは少ないほうだったと思っていたんですけど、読み返してみたら全然間違っていて(笑)。「やってるじゃん!」って一人でツッコミを入れてしまいました。
Q19:書くのが面倒くさくならないように、ゼミの最初のほうは文法に関してはあまりうるさく言わないようにしていました。でも、みんな、他の人の赤字を読んだりして、ちゃんと学習しているんです。
過去に書いた文章を読み返すと、本当に下手だなと思う反面、ものすごくピュアだなと思うときもあります。「今の私だとこのぶつけ方はできないな」と、そういう面白さに気づいたりする。小器用に上手くなってしまって、いいところが削れてしまうのはもったいないと思います。
ベテランライターになると、テクニックだけで処理してしまうことが結構あるんですよね。ここはこのフォーマットで処理しようと経験則で考えるようになってしまう。でも、そうやって同じ筋肉ばかりを使って摩擦していくと、やっぱりつまらない原稿になってしまうと思います。上手いけど、つまらない。ちゃんと心を動かして書かないと、整っているけれどめちゃめちゃつまらない原稿になってしまうんです。私は、自分がそれをやり始めたら書くのをやめようと思っています。世の中や書くこと自体に飽きたらやめたほうがいい。どんなに上手く書けても、面白くないと思います。
ほかに、ゼミで勉強になったことはありますか?
A19:企画の課題、レポートの課題、インタビューの課題など、いろいろな課題をやってみて、何ができないのか浮き彫りになったと感じています。私は興味の種はたくさん見つけられるし、どんなことも楽しめるタイプだけれど、それをいざ記事にしようとすると、明らかに切り口のストックが少ない。切り口を考えていなかったから、書いているときに「これでは良さを伝えられていないのでは?」と苦労しました。
さとゆみさんへのインタビュー課題は、「決算書思考」という切り口で書きました。さとゆみさんのキャリア形成を決算書に落とし込むという切り口です。でも、この切り口に至るまではとても悩みました。元々お金について聞きたいとインタビューに臨みましたが、どう書いていいか全く案が浮かばなかったんです。本当に四六時中考えて、夜中の2時頃、寝る直前にひらめきました。インタビューが終わってから一週間くらい一文字も書いていなかったので、ひらめいてからバババっと書き上げたんです。
Q20:「締切があるから何かひねりださなくちゃいけない」という状況が、一番脳に負荷がかかるんですよね。だから、点と点が線になったり、線と線が面になったりする。負荷をかけることが大事だなと思います。そのときはそれが思いついたかもしれないけれど、もし締切が3週間先だったとしたら、また別のことを思いついたかもしれない。この仕事では、こういうことがよくあるかなと思います。
A20:でも、それってある意味“泥縄”ではありませんか? それを前提に仕事をしていくと、ちょっと怖いなと感じます。
今回は結局思いついたからよかったものの、原稿としてクオリティが高かったかと言うと話は別です。「もっと工夫できたかも……」と提出したあとに思いました。綺麗に整えるまではできなかったので、そこは反省点です。
Q21:ああ、でも必ず思いつくものなんですよ。それが「締切」というものです。「思いついたら書こう」とすると、いつまでも思いつきません。でも、「この日までに書いてください」と言われると、必ず思いつく。それが一番良い方法ではないかもしれないけれど、少なくとも自分の暫定解を出すことはできる。
それから、自分で企画を立てて記事を書くようになると、他の人の記事を読んでいても「これはこの切り口なんだ」「この切り口真似したい」などと気づけるようになります。読者だったときには絶対に気づけないことに気づけるようになる。自分が書く側に回ったから、他の人の切り口も見えるようになるんです。手数は増えていくし、それを自分の企画にスライドできるようになると思います。
A21:そう言われると、そんな気がします。今までは「読者」だったから、雑誌や新聞、Web媒体を読んでも、種が面白いと思って、切り口をそれほど見ていませんでした。でも、今は切り口を意識して見るようになって、少しずつわかるようになってきたと思います。
Q22:一度でも「企画を考え提出する」「原稿を書き終わらせる」経験をすると、それからいろんなことに気づけるようになります。私は、先にアウトプットしてからインプットをしたほうがいいと考えています。一度アウトプットして、「ここが上手くできなかったな、どうしたらいいんだろう」と課題を見つけてからインプットしたほうが、何事も身につきやすいと思う。
人の原稿を読むのも漫然と読んでいるのではなくて、自分の課題を持って読む。そうすると、「この質問、めちゃめちゃ鋭い!」とわかるようになってきます。インタビューしたことのない人には、質問の良し悪しはわかりません。だから、泥縄なんじゃないかは、心配しなくても大丈夫だと思います。
A22:ひとつ質問してもいいですか。先ほど取材の話がありました。さとゆみさんにとって、一番楽しいのは取材ですか?
Q23:私は、ずっと自分が質問をするのが好きだと思っていました。でも、最近は私ではない他の人が質問しているのを聴くのがすごく楽しいと感じています。
最近、私は「対談原稿」を書く仕事が多いんです。そういった記事は、私はほとんど質問せずに原稿だけ書いています。先日公開された、星野リゾートの星野社長の記事もそうですね。
(※『星野リゾート代表が語る北米進出「100年先を見据えた投資」』)
私も現場に行って、撮影の合間に追加でちょっと質問をすることはあるのだけど、基本的には黙って対談を聞いています。対談のお相手の方はシリコンバレー在住で、WiL代表の伊佐山さん。私が思いつかない質問をたくさん投げかけていらっしゃいました。まさに一流同士の会話なんです。「スタッフが辞めるって言い出したら、胃がきりきりしますよね」のような経営者同士の対談は、私では絶対にできない。そこから広がっていく話はすごく面白いです。私が星野さんの原稿を書かせていただくのは3回目ですが、私が質問したときよりも全然面白い話を引き出してくださっていると感じました。
誰かがインタビューしてくれるとなると、私自身はそこまで下調べに時間をかけずにすみます。代わりにその人が深い質問をしてくれるから、すごく楽しいです。
でも、それは自分で下調べをしてインタビューをして書いた経験があるから、楽しいと思えるのだと思います。「この素材がこんな原稿になる」というインプットとアウトプットのセットをたくさん繰り返してきたから、対談を聞いているだけでもわかることがある。「この質問、私だったら絶対に引き出せないな、面白いな」と感じるのも、自分でインタビューした経験があるからだと思います。
A23:人の話を1回聞いて満足するタイプの私でも、他の人が質問してくれたら「こんな一面があったんだ!」と、面白い発見ができそうだなと思いました。
Q24:ライターをやっていると、同じ人に何度も取材をすることがあります。でも、10年前を知っているからこそできる質問もあるので、それはそれで面白いですよ。
ちなみに書籍のライティングは、著者さんに15~20時間くらいインタビューをするので、途中で飽きてしまう人は向いていないかもしれません。
今日の話を聞いていると、りょーこは短距離走タイプなのかなと思いました。縦の動きより横の動きのほうが速い人なんじゃないのかなと。私もどちらかというと飽きやすいタイプなので、短距離走タイプです。もちろん、ライターさんそれぞれに特徴があるから、どちらがいいというわけではありません。
ほかに、何か聞きたかったことなどはありますか?
A24:さとゆみさんは、ご自宅やシェアオフィスだけじゃなくて、全国いろんなところに飛び回って、ホテルや宿で執筆されていますよね。ワーケーションのような記事は書かないんですか?
Q25:いや、書きたいと思っていますよ。私は生まれ変わったら「ホテルの精」になると決めているくらい、ホテルが大好きなんです(笑)。口に出して言っているし、旗も立てているんですけど、なかなか仕事がこないんです。
この前、ゼミメンバーで行った五島列島について書いた記事は『BUSINESS INSIDER』さんに掲載してもらいました。でも、それが初めてかもしれません。だから、誰か仕事をください(笑)!
(※『ないことが、「あった」ことを照らし出す。長崎県・五島で最高級の「缶詰体験」をしてきた』)
五島列島のような旅行じゃなくても、ゼミのメンバーでAirbnbを一棟貸し切って、入れ替わり立ち替わりいろんな人が集まって、書いては消えていく、という執筆合宿をよくやっています。3期のメンバーもぜひ参加してほしいです。
A25:はい。私も合宿かホームパーティーか、何か面白いことを企画したいなと思っています。3期には料理好きのメンバーがたくさんいるので、美味しいものを作ってもらおうかなと(笑)。そのときは、さとゆみさんもぜひお越しください!
今日はありがとうございました。本当に楽しゅうございました!
(構成・文/玄川 阿紀)
プロフィール
ささきりょーこ
1989年、神奈川県横浜市生まれ。戸建住宅の企画・販売をする不動産会社でバックオフィスを担当。経理・総務・広告戦略・ホームページ制作に携わっていくうち書きたい意欲がムクムク芽生え、宣伝会議『編集・ライター養成講座』を受講。そこでさとゆみさんの講義に一目惚れし、『さとゆみビジネスライティングゼミ』受講を決意。ゼミ受講開始と同時に都内の広告制作会社に転職。「広告プロデューサー」と「ライター」の二刀流の道、絶賛修行中。
note:https://note.com/20180630riyoko